「ピクサーのひみつ展」へ行ったら純粋にピクサー映画を楽しめなくなった気がする話

「ピクサーのひみつ展」へ行ったら純粋にピクサー映画を楽しめなくなった気がする話

グランフロント大阪ナレッジキャピタル・イベントラボで開催されている、「ピクサーのひみつ展 いのちを生みだすサイエンス」へ行ってきました。

平日の午後に行ったのであまり混雑しておらず、2時間ほどゆっくりと楽しむことができました。

「ピクサーのひみつ展」は「トイ・ストーリー」「モンスターズ・インク」「ファインディング・ニモ」といったピクサー映画がどのように作られているのか、実際に体験しながらアニメーションの制作過程を知ることができるというもの。

展示物は写真撮影OK。(一部撮影禁止)

「トイ・ストーリー」のバズ・ライトイヤーや「モンスターズ・インク」のサリーやマイクと一緒に写真が撮れるフォトスポットも用意されていました。

さて、この「ピクサーのひみつ展」へ行ってみたところ。

アニメーションの制作過程を知ってしまったことで、これから純粋にピクサー映画を楽しめなくなった気がするなというお話です。

制作の裏側、作成秘話。

実はこんな苦労話があります、ピンチをこんな機転を利かせて乗り越えました。

そういった類の話が好きな人は「ピクサーのひみつ展 いのちを生みだすサイエンス」を楽しめるんじゃないかなと思います。

「ピクサーのひみつ展」ではアニメーション制作の8つの工程を通して、アニメーションを支える科学について学べるハンズオン展示です。(ハンズオン展示とは、触れて、感じて、遊べる体験型の展示のことです)

「ピクサーのひみつ展」で紹介されたアニメーション制作の工程は以下の8つ。

・モデリング(Modeling)キャラクターの形をつくる
・リギング(Rigging)キャラクターを動かす筋肉や関節をつくる
・サーフェイス(Surfaces)キャラクターの外見をつくる
・セット&カメラ(Sets & Cameras)物語の世界を撮影する
・アニメーション(Animation)キャラクターに演技をつける
・シミュレーション(Simulation)キャラクターの髪や服を動かす
・ライティング(Lighting)昼や夜など明かりを調節する
・レンダリング(Rendering)映画館などで楽しめる状態にする

特に面白いと思った工程がキャラクターを動かす筋肉や関節をつくる「リギング(Rigging)」、物語の世界を撮影する「セット&カメラ(Sets & Cameras)」、そしてキャラクターの髪や服を動かす「シュミレーション(Simulation)」です。

リギング(Rigging)キャラクターを動かす筋肉や関節をつくる
キャラクターに仮想の骨や関節、筋肉をつくるのがリガーと呼ばれる仕事。例えば、太ももを上げたときにひざが自然に曲がるように‟リグ”でキャラクターの体の「パーツの動作」を決めます。アニメーターがキャラクターのポーズを簡単かつ効率的につくるには、リグの数・場所・曲がる角度などが適切につくられている必要があります。(公式ホームページの展示情報より)

リギングはキャラクターの全身に関節となるポイントを作っていくというもの。関節となるポイントを作ってキャラクターを動かしていく…のは理解できるとして、驚いたのがそのリグの数の多さです。

例えばキャラクターの顔だけでも多くのリグが打ち込まれています。どうしてかというと、顔の表情は喜怒哀楽の単純なものだけではありません。時には「アニメらしい」オーバーな表情も必要とされるので、自然とリグの数も増えていくようです。

リギング体験では、リグが打たれた「トイ・ストーリー」のカウガール、ジェシーの顔を画面上で操作することができました。たった数点でも驚いた顔をしたり、白目をむいた変顔になったり。

キャラクターを動かすための筋肉や関節を作っていく作業は大変だと思いますが、キャラクターに命を吹き込むような作業でおもしろそうだなと思いました。

セット&カメラ(Sets & Cameras)物語の世界を撮影する
映画に必要な物はキャラクターだけではありません。ストーリーボードに描かれたイメージをリアルな世界に変えるには、小石・木・建物などシーンに合ったセットが重要です。セットデザイナーの役目は、フレーム内でのセットの見え方を検証し、ストーリーの文脈や背景、情感を伝える事です。彼らは建築家のように地面から仮想世界を構築していきます。カメラアーティストはバーチャルカメラを使って、ストーリーが伝わる構図、カメラの動き、レンズの種類を選択し、スクリーンに映し出される物を形にしていきます。(公式ホームページの展示情報より)

セット&カメラの動画解説は2つありました。

ひとつは「バグズ・ライフ」のセット制作について。アリの気持ちになって自然を見あげてみたら、葉っぱは太陽の光に透けてステンドグラスのように輝いて見えるだろう、木や葉は大きな建物のようだろう、といったことをベースにセットを制作していったということ。

そしてもうひとつは「レミーのおいしいレストラン」のセット制作について。パリの街並みを再現した話、キッチンが良かったと褒められた話のほか、セットデザイナー自身が実際に建築学を学び、建築関係の職場で数年働いていたことなどが語られていました。

アニメーションに限った話ではないですが、建物や部屋の内装など、細かい部分まで作り上げている作品は大好きです。カーテンがピンクかブルーか、それだけでキャラクターの印象が全然違ってみえてきますよね。

セット&カメラの展示をみていたら「ピクサー映画を観たい!背景を観たい!」という気持ちに駆られました。

シミュレーション(Simulation)キャラクターの髪や服を動かす
キャラクターの髪の毛・毛皮・衣類が本物のように動くようプログラミングするのがシミュレーションプログラマーの仕事です。プログラミングの情報量と技術的制限、シミュレーションを起動する際にかかる時間との間でバランスを取りながら、火や水のような「自然現象の物理法則」を作品の世界観をもとに設定することから取り掛かります。(公式ホームページの展示情報より)

制作工程のなかで一番大変じゃないかなと思ったのが、キャラクターの髪や服を動かす「シミュレーション」部分です。

動画解説では「メリダとおそろしの森」のメリダの天然パーマのくるくるヘアを例に、キャラクターの髪や服を動かすシミュレーション作成について語られました。

髪の毛の動きを本物のようにプログラミングするため、まず実際にくるくるヘアーの観察。観察の結果、くるくるの部分がバネにそっくりだから、まず髪の動きをバネの動きと同じプログラミングをしてシミュレーション。だけどバネの動きとまったく同じにすると、不自然に髪が直毛になってしまうシーンがでてきてどうも髪らしくない。では、バネの内側にそれぞれ支えを入れたら本物の髪の動きに近づくのではないだろうか……

と、メリダの髪が自然な動きになるまで試行錯誤をした制作過程について紹介されていました。

自然現象を作品に取りいれていく過程がわかりやすく説明されていたので、とても興味深かったです。

が。

私がもしシミュレーションプログラマーでメリダの髪の再現担当だったとしたら、もう一生自分の髪にパーマをあてないだろうなという気分にもさせられました。

「ピクサーのひみつ展」では、空想の世界を作りながらも「空想の世界のなかの本物」を追及して作成していく過程がとても素敵だなと思いました。

空想の世界は何でもありの自由な世界なので、悪くいえば「適当に想像した世界観」でも問題ないわけです。

「子供のものだからこそ、本物を。子供向け=適当なものではいけない。子供を侮ってはいけない。」

折りに触れてそう話していた母親の言葉と重なる部分があるので特に印象に残ったのかもしれません。

「ピクサーのひみつ展」を見たら純粋にピクサー映画を楽しめなくなった気がするのは、その制作過程においてスタッフの試行錯誤が思い浮かぶようになってしまったから。

…ストーリーそっちのけで、部屋の内装やキャラクターの動きを見てしまいそうな気がします。

そして最後に。

「ピクサーのひみつ展」のグッズ販売では、醤油を入れたらキャラクターが浮かび上がってくる醤油皿が販売されていました。

私は家に猫とパンダの醤油皿をすでに持っていたので、バリエーションとして「欲しい!」と思ったのですが、価格は1枚1,100円。

私の猫とパンダは1枚380円。

「ピクサー映画」という付加価値、おそるべし。

You may also like

I'm kaori.
Nice to meet you.

kaoriです。WEBデザインをしたりイラストを描いたりしています。本を読んだり絵を描いたりするのが好きなインドア派…だったのが「いろいろなことに挑戦してみたい!」の気持ちが大きくなり少しずつアクティブに。楽しかった旅の記録と日々の備忘録を兼ねたサイトです。お気軽にご覧ください。