My Book Review

正しいブスのほめ方

社交辞令は大人のマナー?
『正しいブスのほめ方』を読んで

毎日顔を合わせざるをえない人とは、当たり障りのない関係でいたい。じゃあ、当たり障りのない会話でやりすごしたらいいじゃないか、というとまたこれが難しい。

暑くなってきましたね、今日は冷えますね、なんていう天気の話にも限界がある。

返答に困るような自虐ネタを言うような相手には嫌味にならない程度の相槌で、自慢ばかりする人には適度な長さで、できれば早々に会話を打ち切りたい。

むしろ当たり障りのない関係を穏便に続けたいからこそ、言葉のストックが必要だなと感じるときがあります。

「媚びろ、まっすぐに!」

ドキッとするようなキーワードに惹きつけられ『太鼓持ちの達人~正しい××のほめ方~』という、なんとも人にすすめにくいドラマをみていました。

このドラマは3人の「太鼓持ちの達人」が、口下手な人に「絶妙なほめワード」を授けていくというもの。

とにかく寝てないアピールが激しい人に、どんな言葉をかけたらいいのか。

かまってちゃんとの当たり障りのない会話方法など…

あ~わかる!と思いながら楽しくドラマをみていたら、あるとき本屋さんでドラマの原案になった本を見つけました。

これがまた、レジに持っていくのを躊躇させるタイトル。

『正しいブスのほめ方』

原案があったんだ…!という驚きとともに、なかをパラパラみて面白そうだなと思いすぐに購入。(もちろんカバーはきっちりつけてもらいました)

内容はドラマと同じく、ちょっとヒトクセある人たちの「褒めワード」集。

ヒトクセある人とは「元ヤン、バカ、ダサい、存在感ゼロ、料理下手、超体育会系、不幸自慢、かまってちゃん、毒舌、オシャレ番長、若づくり」などなどなど…

あまりにもストレートな分類名が、いっそ清々しい。

そして分類名と同じように清々しく、ヒトクセある人たちの「生態」を紹介しています。

例えばかまってちゃんの場合。

かまってちゃんたちは、その名の通り、自分が常に注目されることを望んでいます。ほめるヒントはここにあります。常に注目するなんて物理的に不可能なのですから、注目されていると思わせられればいいのです。

トキオ・ナレッジ『正しいブスのほめ方』

人をほめるにはまず相手を知ることから。

なにが好きで、なにを大切にしているか、そしてどんな隠れた欲求を持っているのか…

読み進めていくうちに、ヒトクセある人たちがみんな「褒められたがっている」ように思えてくるほど…。

小さい子が「ほめてほめてほめてー!」と言っているような感じで、普段どこをどう褒めていいのか悩ましい人たちがちょっと可愛くも感じるから不思議です。

ただし、紹介されている「ほめフレーズ」が本当に本人の心に刺さるかどうかはあやふやなところ。

本は本。

現実は現実。

混ぜたらキケン。

ということで、当たり障りのない関係の崩壊を導くかもしれないので、実際に使うときは勇気が必要…かもしれません。

「社交辞令は現代社会に生きる大人のマナーです」と言い切るこの本は

そんな人におすすめです。

『正しいブスのほめ方』
トキオ・ナレッジ(宝島社)